シオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX 』読了

 今日とかはちょっと涼しくていい感じ。明日から剣道部の夏休みの練習始まるけど、こんな気候を期待。
 「未来の文学」シリーズのシオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX 』を読了。技巧を凝らした短編に比べると、長編では意外とヒューマニズムなテーマをストレートに描くスタージョンなんだけど、この本も出だしの数章をのぞけば、「愛」や「人間性」といったものへのスタージョンの期待?みたいのがストレートによく出ている。『人間以上』では、そういったヒューマニズムみたいなものがやや冗長に思えたんだけど、この『ヴィーナス・プラスX 』は、その点最後のプロットのひねりもあり、飽きさせない。
 中心となるテーマはジェンダーで、両性具有の謎の人類が住む「レダム」という世界に迷い込んだ一人の男を主人公に、人間社会の「性差」を中心とするさまざまな偏見があぶり出されていくというストーリー。ちょっと古くささも感じなくはないけど、章ごとに挟まれる平凡な1950年代のアメリカ人家庭を描いた部分が、よいアクセントになっていて、一種のユートピア世界とのよい対比になっています。
 まあ、スタージョンの長編で一番好きなのは『きみの血を』ですけどね。

 ヴィーナス・プラスX
シオドア・スタージョン
4336045682


晩ご飯は餃子とトマト