スタニスワフ・レム『天の声・枯草熱』の「天の声」読了

 スタニスワフ・レム コレクションの『天の声・枯草熱』の「天の声」のほうを読み終わる。この本は「天の声」と「枯草熱」の2つの長編が収められていて、基本的に全く違う話なんで、「天の声」の感想だけとりあえず。
 この「天の声」は、『ソラリス』なんかと同じく、人間以外の何者かとのコンタクトもので、宇宙から謎のニュートリノのメッセージが地球に届くという設定は、映画の『コンタクト』をちょっと思い起こさせる。ただ、その後の展開はレムならではの知的なもの。主人公の内面に還元されるようなドラマはほぼなしで、ニュートリノのメッセージの隠された機能、そしてその解釈理論といったものが示されていく。そして、メッセージを解読しようとする科学者たちの思考に色濃く影を落とす冷戦の影。レムの問題意識が強く出ている作品だと思います。

天の声・枯草熱
スタニスワフ レム Stanislaw Lem 沼野 充義
4336045038


晩ご飯は豚汁のようなもの