ジーコジャパンについて

 今日のブラジル戦は前半まではそこそこ戦えていたんで、まあ早起きした甲斐もあったなというもの。ブラジルの布陣はジウベルト・シルバのワンボランチという感じで、日本の中盤が活きる布陣でした。で、ゼ・ロベルトが入った時点で日本の得点チャンスは完全に閉ざされちゃった。

 まあ、これでジーコが監督した日本代表の4年間も終わったわけですが、ジーコはかなるクラシカルなサッカーを目指して、結局それを完成できなかったということなんだと思います。
 もちろん、オーストラリア戦の小野投入という信じられない采配や、実績だけでポジションがかぶりまくりの遠藤を連れて行き、そのくせ宮本の代役はまったく用意していなかったという選手選考など、批判すべき点はいろいろあるのですが、ここではジーコの基本方針について。
 
 なんといってもジーコが理想とするのは、自分たちの現役時代の黄金のカルテットによってつくられたブラジル代表なのでしょう。 ジーコが就任当時、中田英、中村、小野、稲本の4人を同時に使おうとしていた点からもそれは明らかでしょう。
 中盤にタレントのそろった日本代表にとって、それが理想の布陣のようにも言われましたが、ただ、時代はもう中盤で創造的なプレーをする時代じゃなくなってしまってるんですよね。
 それを象徴するのが94年のアメリカ大会。この大会でブラジルは24年ぶりの優勝を果たすわけですが、その時のシステムは4ー2ー(2)ー2なんて言われてました。つまり4バックにドゥンガとマウロ・シルヴァという強力なダブルボランチ、そしてどうでもいいジーニョ、マジーニョという中盤、で、ロマーリオ、ベベトという協力2トップ。いままで一番の花形と考えられていた攻撃的なMFをほぼ省略して優勝したのが94年のブラジルでした。
 ジーコの率いた82年のワールドカップのチームに比べると明らかに軽く見られがちな94年のチームですが、結局優勝できたのは94年。ジーコはたぶん不満をもってその優勝を見ていたんでしょうが、結局その後の大会の中で94年的チームが活躍しているのが事実でしょう。
 今回の大会でも古典的な司令塔はフランスのジダンくらいで、そのフランスは苦戦しています。中盤のスターというとボランチの位置に下がった司令塔のピルロとかジェラード、FWのような動きもできるロナウジーニョリケルメ、あるいは驚異的な運動量で守備と攻撃に活躍するランパードネドベドなど。
 中盤の華麗なパスワークについても、チェコなんかは素晴らしかったですが、結局グループリーグで敗退。ボランチとFWこそがそのチームの浮沈を握るようになってます。

 その点で、ジーコジャパンはかなり悲惨なFW陣で、ボランチの1枚である中田英は運動量があってよく動くけど守備は少し下手。で、守備ができるのは福西、稲本といったところ。少し不安の残るボランチなんですよね。
 ジーコがどう思っていたのかはわからないけど、今のサッカーでポイントとなる2つの位置を考えたとき、ジーコの選手選考とか戦術はちょっとむかしのものだなって思うんですよね。