スティーヴン・P・ スティッチ『断片化する理性』読了

 スティーヴン・P・ スティッチ『断片化する理性』を読了。
 といっても、9月はじめにひどい風邪を引き、そんな中で読んだり中断したりもしたので、正直ちゃんと読めたとは言えない。特に第4章以降は完全に集中力が切れちゃった状態。
 出だしはけっこう面白くて、例えば、「31歳の独身で、大学では哲学を専攻し、社会的正義や差別の問題に関心をもち、反核運動にも参加していたリンダ」について、彼女に当てはまりそうな言明を被験者に聞いたとき、「リンダは銀行の出納係だ」よりも「リンダは銀行の出納係で、フェミニズム運動に熱心だ」という言明のほうがありそうだと答えてしまう「連言の誤り」などを使いながら、人間の推論が必ずしも合理的でないことを指摘し、そこから唯一の「合理的な推論」というものを想定することは実は難しいのだと主張しています。
 このあとの著者の「合理性」に対する疑問というのはそれなりに納得できるものもあるのですが、認識における正当化や合理性、そして真理といった概念を否定していくところまでいくと、集中力の切れた頭でも何となく納得しがたいものがある。例えば、ウィトゲンシュタインの「確実性の問題」とかはどうなるんだろ?とも思う。

断片化する理性―認識論的プラグマティズム
スティーヴン・P. スティッチ Stephen P. Stich 薄井 尚樹
4326199504


晩ご飯は麻婆豆腐とキュウイ