バートン・ビッグス『ヘッジホッグ』読了

 バートン・ビッグス『ヘッジホッグ』を読了。
 「ヘッジホッグ」とは、ハリネズミのことで金融業界ではヘッジファンドやそこで働く人たちのことをこう呼ぶらしい。この本はそんなヘッジファンド業界の内幕とそこで働く人間模様を、モルガンスタンレーの経営にも関わり自らヘッジファンドをつくった著者が語った本。

 前半の、ビッグスがヘッジファンドを立ち上げるまでのいきさつといった部分はそれほど面白くはなかったんですが、後半のヘッジファンドの濃い人間たちのその投資戦略を描いた部分はかなり面白い。
 驚くべき優秀な人間、相場の並を冷静に観察できる人間から、スランプにハマって没落する花型とレーダー、金のみの投資にかけている男、フィナボッチ数列にとりつかれた男、そして未来の新聞をみてしまった不思議な男の話まで、「本当にこんなやつがいるのか?」って話が一杯です。
 そして、その最後に登場するのがケインズケインズがいかに変わった人間で、なおかつ投資のゲームにとりつかれた人間だったかを知ると、前に出てきたヘッジファンドの面々の生態も何か納得できます。

 投資の本としては、それほど細かい投資戦略が書かれているわけではないのですが、株(グロースかバリューか?)、債券、金、森林、美術品といった投資対象の基本的な性格とかがわかる内容になっていますし、大手の証券会社、プライベートバンク、そしてヘッジファンドと、それぞれの性格(彼らはどんなパフォーマンスを期待され、どこまでそれに縛られるか?)といった部分がわかるので、いろいろと参考になる面も多いと思います。

ヘッジホッグ―アブない金融錬金術師たち
バートン・ビッグス 望月 衛
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