日本史必修化の流れ

 神奈川県の日本史必修化の動き
 http://www.asahi.com/national/update/0214/TKY200802140260.html

高校で日本史A・Bなど必修に 神奈川県教委が方針

2008年02月14日17時59分

 神奈川県教育委員会は14日、全県立高校で、「日本史A」「日本史B」、県が独自でつくる郷土史など計4科目から最低1科目の履修を生徒に義務づける方針を明らかにした。文部科学省で改訂作業中の新しい学習指導要領が実施に移される13年度までに始める。

 松沢成文・神奈川県知事ら関東1都9県の知事は日本史必修化を文科省に求めていたが、新しい指導要領に盛り込まれない見通しとなったため、独自の対応を決めた。

 中央教育審議会文科相の諮問機関)が1月に出した新指導要領についての答申では、「小中学校の社会科で日本史を中心に教えている」ことを理由に、高校では、世界史を必修とし、日本史と地理は現行通り選択科目とするよう求めている。

 これに対し、神奈川県教委は「国際社会を生き抜く上で、我が国や郷土の歴史・文化・伝統への理解を深めることは不可欠」と判断。日本史のAかBを履修しない場合、独自に設定する「神奈川の郷土史を学習する科目」「近現代史を総合的に学習する科目」から1科目を選択することを義務づけることにした。

 新年度、有識者らによる検討会を立ち上げ、新設する2科目のカリキュラム内容や教科書づくりを進める。

 「日本史のAかBを履修しない場合、独自に設定する「神奈川の郷土史を学習する科目」「近現代史を総合的に学習する科目」から1科目を選択する」という但し書きがあるものの、その新科目を開設する負担は重そうだし(券で独自に教科書をつくるとかいうなら別ですが)、実質、神奈川県が日本史の必修化に踏み切ったと見ていいでしょう。


 この日本史必修化はhttp://d.hatena.ne.jp/morningrain/20061028でも触れたネタで、民主党の議員が必修化を求めて、それに当時の伊吹文部化学大臣が肯定的に答えているんだから、次の学習指導要領の改訂で世界史に代わって日本史が必修化されるんじゃないか、ってことを書いた。
 その後、中教審では日本史必修化が見送られる方向になったという話を聞きましたが、こういう知事の判断による必修化って手があったんですね。(石原慎太郎の「奉仕」の必修化はさすがにアナクロに思えますが、この神奈川のケースのような必修化はこれからさかんになりそう)
 

 上に書いたようにこの日本史必修化は自民と民主の一部(特に松下政経塾出身の若手)とコンセンサスが出来つつある政策となってますし、埼玉県の上田知事なんかも松沢知事に近く、「新しい歴史教科書をつくる会」を支持しているくらいなんで追随する事もありそう。
 そうなると、文部科学省が抵抗しても実質的な流れが出来てしまうかもしれませんね。


 逆に、こうした流れの中で中教審が日本史必修化を見送ったのが不思議と言えば不思議。
 中教審の会長の山崎正和歴史教育そのものに懐疑的だという事もあるんでしょうけど、個人的にはそれ以上に教科書検定の問題があるのではないかと。
 去年の沖縄の集団自決をめぐる問題で再び脚光を浴びたように、日本史はもっとも教科書検定が問題となる教科であり、中国・韓国のこともあって選択科目で誰もが履修する科目でないのにもかかわらず非常に注目を浴びます。
 そんな中で日本史の必修化が行われれば、ますます「国定教科書」のイメージ強くなり、今まで以上に教科書検定がやりにくくなってしまう、文部科学省の懸念はそんなところじゃないでしょうか?

 
 日本史を学ぶ事によって愛国心みたいなものを植え付けようとするのはどうかと思いますが、ただ、高校卒業しても韓国や台湾が日本の植民地だったって知らないような状況とかはやっぱりちょっと困るというのも事実。
 教科書検定を大幅に緩和して、ある程度の自由さを持たせた上で日本史必修化ってのが最善の手ですかね?