たまたま見た時に町山智浩が『崖の上のポニョ』について書いているんだけど、
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20080727
子を持つ親として『崖の上のポニョ』で許せないこと
?幼い息子を乗せて別に何も急いでないのに無意味な危険運転を繰り返す母親
?嵐で避難勧告が出ているにもかかわらず、子どもを乗せて危険な崖の上の家に帰る母親
?路面が冠水しているにもかかわらず、猛スピードで急ブレーキ急ハンドルを繰り返す母親
?海水魚を入れたバケツに水道水を注ぐ子ども(井戸水であっても即死)
?自分たちの名前を息子に呼び捨てにさせている過剰に民主主義的な両親
?洪水の夜に5歳の子どもを自宅に置き去りにする母親
?中盤の「ポニョの騎行」以降、アニメーション的なクライマックスがない構成
何が「子を持つ親として」だ!
だいたい、海に金魚とか、ビンにつまったポニョをガラス割って救出とか、この映画はリアルな世界とは別の次元でできているじゃない。
それを「子を持つ親として許せない」って。
町山氏はウルトラマンが戦っている時に「街が破壊されている」ってテレビ局に電話しちゃうようなタイプなんですかね?
まあ、確かに映画とかにつまらない道徳観を求める人がいるのは知ってる(『デッドマン・ウォーキング』の感想で犯人が許されているようで許せない!みたいな感想を持つ人だっていることだし)。
でも、一応、映画評論家なわけじゃないですか。
ブログとかちゃんと読んでないから記憶違いなら悪いけどタランティーノの『デス・プルーフ』とか買ってませんでしたっけ?
タランティーノを「子を持つ親として許せない!」とかは言わないの?
確かに『崖の上のポニョ』にはストーリー上の欠点があるし、国民的映画監督の宮崎駿を批判したいという中2病的な思いもわかる。
でも、この「子を持つ親として許せない」とかいうフレーズは使いようによっては表現者の自由を狭めてしまう恐れもある。「子どものため」とかいう理由で、ネットをはじめとするさまざまな分野で規制が行われようとしていることを町山氏が知らないわけでもないでしょう。
映画を、あるいは自由な表現を愛する気持があるなら、こういう言い方の嫌らしさ、危険性というものにちょっとは自覚的になるべきでしょう。