『グリーンゾーン』

 90年代にハリウッドで新しい映画のスタイルを作り出したのがデヴィッド・フィンチャーとするなら、00年代にそれをやったのがポール・グリーングラスではないか、というのが個人的な印象なんですけど、この最新作の『グリーンゾーン』も、まさにポール・グリーングラスならではの映画です。
 (さらに個人的な印象としてはクリストファー・ノーランがちょうどこの二人の間に入る感じ。ただ、ポール・グリーングラスデヴィッド・フィンチャークリストファー・ノーランよりも年上ですし、けっこうキャリアも長いんですよね。)


 イラク戦争集結直後にイラクにあるとされた大量破壊兵器をゆくえを探すというのがこの『グリーンゾーン』のストーリーで、その探索の部隊を指揮する隊長を演じるのがマッド・デイモンです。
 監督と主演は「ボーン・シリーズ」のコンビ。ということで、当然ながらアクションシーンは手持ちカメラと細かいカットをつなぎあわせたスピーディーなものになっています。また人が走るシーンがよく出てくるのもこの監督の特徴かもしれません。
 ただ、実際のイラク戦争を舞台にしているだけあって、たんなるアクションではなく、背後にある「陰謀」というのがこの映画のテーマになっています。


 現在の僕たちは「実はイラクには大量破壊兵器がなかった」ということを知っているわけですが、イラク戦争の開戦理由は、この「大量破壊兵器」。なぜ、アメリカはありもしない大量破壊兵器の情報に踊らされたのか、その謎の一つの仮説的な答えがこの映画では示されています。そして、それは結構説得力のあるものです。
 もちろん、この映画の主人公のように一部隊の隊長が、現地のCIAの人間と協力してその陰謀を暴くというのは、なかなかできるものではないと思いますが、それがあたかも「リアル」に感じさせてしまうのがポール・グリーングラスのマジック。
 「ボーン・シリーズ」もそうでしたが、とにかく「行動」「行動」「行動」の連続で、見ている側につっこむ暇を与えません。ラブロマンスとかメタファーとか、「映画っぽい」ものがなくても、「行動」を真剣に撮ればそれが映画になるんだということを示したのがポール・グリーングラスでしょう。
 この映画でも、この手の映画だと重要人物になるはずの女性ジャーナリストの扱いとかほんと小さいですからね。映画を動かすのはあくまでも体を張った「行動」です。


 あと、特筆すべきなのはヘリの撮り方がカッコいいこと!
 街の上空に突如現われる特殊部隊を乗せたヘリ、ロケット弾の攻撃を受けてよるの街に墜落していくヘリ、どちらも素晴らしいシーンです。
 ただ、今日は失敗はピカデリーに直前に行って最前列に座ってしまったこと。
 面白かったけど、さすがに疲れた…。