今年は正直なところ枚数的にも例年ほどに聴けてないし、何よりも新規開拓ができなかった気がする。
というわけで、やや保守的なランキングかもしれませんが、今年の10枚を。
1位 Kanye West/My Beautiful Dark Twisted Fantasy
My Beautiful Dark Twisted Fantasy Kanye West Def Jam 2010-11-22 売り上げランキング : 195 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
前作の「808s & Heartbreak」もすごいと思ったんですが、さらにすごくなった!今までの要素をすべて詰め込んで完全にカニエ独自の世界を創り上げた感じ。もはやHIP HOPでもR&Bでもない世界が広がっています。
特に "Runaway"はPVも含めて圧倒的。空虚感とポップさが入り交じったような不思議な世界を構築しています。
2位 Sufjan Stevens/The Age Of Adz
The Age of Adz Sufjan Stevens Asthmatic Kitty 2010-10-12 売り上げランキング : 822 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
歪みと混沌の中のポップ。2005年の「Illinois」でブレークした感のあるSufjan Stevensですが、いろいろな試行錯誤のすえ、ずいぶんと歪んだ傑作を携えて帰ってきた!
なんといってもこのアルバムの肝はラストの"Impossible Soul"。なんと25分以上にわたる曲で、ほとんど交響曲といったスケール。前半はSufjanの歌を聴かせるような展開で、それがだんだんと歪んで、後半で一気にポップに爆発!歪んでいたアルバム世界がここだけ光に包まれている感じです。
3位 東京事変/スポーツ
スポーツ 東京事変 EMIミュージックジャパン 2010-02-24 売り上げランキング : 1222 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
前作の「娯楽」、椎名林檎名義の「三文ゴシップ」とシングルは良くてもアルバムはいまいちな感があった椎名林檎ですが、今作はトータルでよかった!
よく聴くと歌詞はけっこう暗めであるんですけど、曲にスケール感や疾走感、あるいはどこかポップなところがあって素直にノレる。椎名林檎関連のアルバムなら東京事変の「大人」以来の満足感です。
4位 Stars/The Five Ghosts
ザ・ファイヴ・ゴースツ スターズ P-VINE 2010-06-23 売り上げランキング : 116514 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
まあ偏愛の対象ですから。
正直、ここ3作の傑作レベルに比べると1歩劣るとは思うのですが、1曲目の"Dead Hearts"のTorquilとAmyの重ね合わさるようなボーカルとか聴くとそれだけで満足。音的にはストリングスとかが少し後退して、ややエレポップさが戻った感じですね。7曲目の"Changes"のAmyのハイトーンボイスが美しい!
が、輸入盤がAmazonでずっと品切れなのはなぜだろう?
5位 J〓nsi/Go
Go Jonsi EMI Import 2010-04-05 売り上げランキング : 4116 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ファンの期待する「Sigur R〓sっぽさ」を完全に振り切ってポップさ全開のアルバム。Sigur R〓sからは賛否両論でしょうけど、僕は好きです。1曲1曲が短くなったことでアルバム自体の完成度も上がったと思いますし。
まさに”祝祭”って言葉がぴったり来るような喜びに満ちたアルバムです。
6位 Mr.Children/SENSE
SENSE Mr.Children TOY'S FACTORY 2010-12-01 売り上げランキング : 12 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
出だしの”I”とか、いくつかの曲とその歌詞はまるで「BOLERO」〜「Q」の時代に戻ったかのような厭世と自嘲に満ちたものなんだけど、それをポップなメロディでくるみ、さらにミスチル初期を思わせる爽やかな"I'm talking about Lovin'"とか王道バラード"365日"をうまく挟んでポジティブに聴かせてしまうというミスチルのキャリアと上手さを感じさせるアルバム。特に2曲目の”擬態”がうますぎると思います。
7位 Basia Bulat/Heart Of My Own
Heart of My Own (Dig) Basia Bulat Rough Trade Us 2010-01-26 売り上げランキング : 116821 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
カナダの女性シンガーソングライターの2ndアルバム。ちょっとハスキーボイスのフォークシンガーといった感じですが、プロデューサーがArcade Fireにも参加しているHoward Bilermanということで、たんなるフォーク、あるいはカントリーとはひと味違った変化がありますし、それでいてストレートな歌声とメロディを聴かせてくれるのがこのアルバムのいい所。やや重々しい感じもありますが、7曲目の"If Only You"は軽快でキュートかつポップ!
8位 The National/High Violet
High Violet National 4AD / Hostess 2010-05-11 売り上げランキング : 32782 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
前作「Boxer」が素晴らしかったThe Nationalの新作。凝ったドラミングと少しダークな感じのボーカルは相変わらず。アングラな雰囲気をたたえています。前作に感じたような「美しさ」はあまりないのですが、5曲目の"Afraid of Everyone"。後半の人間スクラッチみたいなところからアウトロにかけてのカッコ良さはきてます!
9位 The School/Loveless Unbeliever
Loveless Unbeliever + bonus ザ・スクール アート・ユニオン 2010-10-13 売り上げランキング : 74505 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ウェールズ出身の8人組。 女性ボーカルをメインにしたポップで、The Pipettes、She & Himといったあたりに近いです。企画色の薄れたThe Pipettesというのが一番近いでしょうか?曲は全曲がオールディーズっぽい王道的なポップソングで、冒頭の"Let It Slip"なんかは、「いかにも!」って感じの曲ですけど、いいです。ボーカルLizの声に情感があって、"All I wanna do"のようなスローテンポの曲もしっかりと聴かせるところがこのバンドのいい所。
10位 Drake/Thank Me Later
Thank Me Later Drake Cash Money 2010-06-15 売り上げランキング : 5873 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
カナダ出身のラッパーDrakeのデビュー・アルバム。デビュー前から話題になっていたらしいけど、確かにデビュー作らしからぬ完成度の高さ。しかもラッパーとは言っても、やたらにおしゃれでR&Bのシンガーのアルバムを聞いているよう。冒頭のAlicia Keysが参加している"Fireworks"は、遠くで聞こえる花火の音で始まり、「大人のR&B」的な雰囲気に満ちています。ただ、一方で4曲目の"Over"のようなエッジを効かせた曲も聞かせますし、かなり表現力のあるMCと言っていいでしょう。
今年はアルバムの出来としてはカニエが抜けていた感じ。USインディーとスウェーデン勢でいいのが見つけられなかったことが個人的には残念です。
日本ではミニアルバムなので入れませんでしたが、チャットモンチー/Awa Comeの昔の曲が素晴らしかった!でも、新曲はややイマイチということで来年春と言われているニューアルバムはどうなんだろ?あと、ふくろうずがちょっと面白いかとも思いましたが、うじうじサブカル系な感じで終わってしまうのかな?