『マネーボール』

 一応見ておきたいと思って見に行きました。
 評価的には「まあ、面白い」といった感じ。もっと面白く出来る要素はありそうなのでちょっともったいない感じがしましたね。


 ブラッド・ピット演じる主人公のビリー・ビーンは貧乏球団オークランド・アスレチックスGM。2001年ポストシーズン、アスレチックスはニューヨーク・ヤンキースの前に敗れ去り、オフには、スター選手であるデイモン、ジェイソン・ジアンビ、イズリングハウゼンの3選手が移籍。戦力を整える目処が立たなくなったビーンは、独自のデータを使って選手を評価するセイバーメトリクスという理論を駆使するピーターと出会い、彼の理論を使ってチームを編成することを決意します。
 ただ、出塁率や選球眼にこだわり守備や年齢、ケガに目をつぶるというその方針は、スカウトたちや監督の批判を浴び、チームもシーズン当初は最下位に低迷。しかし、トレードなどの荒療治を行うことでチームの方針を貫き、やがてアスレチックスはア・リーグの連勝記録を塗り替えるほどの快進撃を見せる…というのがこの映画のストーリーです。


 このお話の肝はセイバーメトリクスによる旧来の野球観の書き換えだと思うんですけど、映画ではこれが弱い。
 出塁率へのこだわり、犠牲バントの禁止などはそれなりに「なぜそうなのか?」ということを説明してくれるのですが、盗塁の禁止などはそれがビーンの口から語られるだけで「なぜそうなのか?」ということはわかりません。
 個人的にはビリーの別れて暮らす娘との関わりとかをカットしても、この理論の内容と帰結といったものを見せてもらいたかったです。
 最後の20連勝のシーンは確かに盛り上がりますが、「なぜ20連勝できたのか?」というところが、この映画だとわからないんですよね。
 Wikipediaの原作本『マネー・ボール』のページを見ると、その秘密というのはわかってくるのですが、これを映画の中で描いて欲しかったです。

 
 ただ、アメリカのプロスポーツの世界の厳しさやダイナミックさというのはこの映画を見るとよくわかりますし、役者もうまいので映画としてダレたところはなく、基本的には面白く見れると思います。


マネー・ボール (RHブックス・プラス)
マイケル・ルイス 中山 宥
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