Beirut/No No No

 Beirut、4年ぶりのアルバム!
 とは言っても、全体の収録曲は30分ほどで、ミニアルバムと言ってもいいようなボリュームです。
 前作の「The Rip Tide」はそれまでの「バルカン・フォーク」路線に少しエレクトロニカが入ってそれが絶妙な味を見せていましたが、今回の「No No No」はそれほど強いアルバムの「色」のようなものは感じません。
 冒頭の"Gibraltar"は、あえてBeirutの特色でもあるホーンを封印した作品で、変化を狙ってきたのかとも思いましたが、別にホーンを封印しているわけではなく、他の曲ではいかにもBeirut的なホーンが響いたりしています。
 

 ただ、「色」はないぶん、「幅」はあります。
 今回のアルバムはかなり自由にいろいろな音を鳴らしている感じで、「バルカン・フォーク」というBeirutを形容するためだけに生み出されたような言葉も必要ないくらいです。冒頭の"Gibraltar"にしろ、6曲目の"Perth"にしろ、かなりポップな仕上がりで、今までのBeirutにあった寂寥感のようなものはありません。
 もちろん、「バルカン・フォーク」的な曲もあるのですが、今までのアルバムに比べるとラフでポップな感じです。
 特に派手な曲もなく、さらっとしているのですが、それでも随所にセンスは光っていて、「もう1回聴いてみようか」という思いになります。
 前作「The Rip Tide」のような「傑作!」という評価ではないですが、改めてBeirutの良さを感じさせてくれるアルバムですね。



No No No
Beirut
B00YQID2MA