原作未読だけど、『モテキ』の大根仁監督ということで。
ツボに入りまくった『モテキ』に比べると落ちるけど（橘いずみの"失格"が流れたシーンは邦画史上トップレベルの「キタァッー」ってシーンだった）、マンガのリアリティを実写に落としこむやり方が相変わらずうまい。
まず、キャストもマンガ的な世界を演じられる人だけ集めている感じでシラケない。まず、主人公の一人の神木隆之介がこういった漫画的世界にピッタリだし、佐藤健も悪くない。他も皆川猿時とか新井浩文とかデフォルメしたキャラクターを上手く演じられる人間を集めているし、そういった役者にうまく「笑い」を担当させている。
一方、担当編集者の山田孝之には普通の演技をさせており、この山田孝之が現実との接点としてうまく機能している。山田孝之は、最近濃い役でしか見ていなかったので最初わからないくらいでしたけど、こういう薄い役もこなすんですね。いい役者だと思いました。
脚本的にはヒロインの小松菜奈以外の女性を全部切ったところが良いのではないかと思いましたが（原作ファンから見るとどうかはわからないけど）、今の日本の女優にはあまりこういう漫画的世界をうまく演じられる人がいないということもあるのかもしれません。
シーンとしては、佐藤健と小松菜奈の不器用な恋愛はうまく撮れていると思います。これはマンガよりも実写映画が向いているところで、そのあたりの演出はうまいです。
ただ、「漫画を描く」という行為を、どう画にするかということについてはやはり難しい面もありますよね。この映画ではプロジェクションマッピングを使ったり、いろいろろ「動き」を出そうとしていましたけど、やはり表現としてはぴったりはまった感じはしないです。
浦沢直樹の「慢勉」とかを見ると、もっと原稿が完成に近づいていく様子を見せることで「動き」を出せないかとも思いましたが、まあ、なかなか難しいものかもしれません。
でも、ジャンプ漫画を経験したものならエンドロールなども含めて面白がれる作品だと思いますし、青春ドラマとしてもしっかりとしている映画だと思います。
