原作は伊坂幸太郎の『マリアビートル』、日本の新幹線を舞台にしたアクションもので主演はブラッド・ピットという作品。
新幹線に乗り合わせた殺し屋たちが、大金の入ったブリーフケースをめぐって争うというストーリーですが、そこにはさまざまな思惑や因縁がからんでいて…という展開になります。
基本的にはポスト・タランティーノ的な作品で、イカれた人物たちによる会話が1つのウリになっているわけですが、そこはややキレが鈍い。
ただし、外国人の描く「間違った日本」が大好きな者としては十分に満足できる。なんといってもクライマックス近くのシーンで「スクール・ウォーズ」の主題歌の麻倉未稀「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」が流れるんですよ!
ブラッド・ピットが演じるコートネーム「レディバグ」は、一時期リタイアしていたもののセラピーを受けて復職した殺し屋。今回は新幹線の中から荷物を奪って次の駅で降りればいいという簡単なミッションを受けたが、次々とトラブルが起こって新幹線を降りられなくなるというのがスタートです。
まず、出発点の東京駅ですが、外見は本物と全然違う。駅構内ではソメイティらしきゆるきゃらが激推しされており、このソメイティは新幹線の中でも推されており、着ぐるみまで乗車しています。
新幹線も外見からしてそれほど似せようとしてはいません。列車名は「ゆかり」ですし。中身も本物とは全然違う。なぜか新幹線が猛スピードでカーブしていくシーンもありますが、危ないですよね。
新幹線は品川→新横浜→静岡といった具合に進んでいくのですが、どの駅もケバケバしくて現実の駅とは全然違います。
それなのに何もない米原駅は本作でも何もない!
なぜか夜行列車になっている新幹線を舞台にアクションが繰り広げられるわけですが、新幹線にホームから飛び移った殺し屋が後部運転席の窓ガラスを破壊して中に入ったりできたように、かなりもろい構造ですね。
でも、トイレはウォシュレットの最新式で、ブラッド・ピットも感心しちゃってます。
新幹線の屋根の上に敵が乗っかってくるシーンは『ウルヴァリン: SAMURAI』を思い起こさせますが、この新幹線も『ウルヴァリン: SAMURAI』のものと同じくパンタグラフがないのでは?疑惑がありますね。
そして、『ウルヴァリン: SAMURAI』と共通するのが真田広之の存在。どんなトンチキな日本であっても、かっこよく決めてくれるのが真田広之で、今作では特に決めてくれています。
「文化の盗用」といったことが話題になる昨今ですが、日本に関してはぜひ海外の皆さんに適当なイメージの日本を舞台にした作品をつくっていってほしいですね!