中心となる3人に、クリスチャン・ベール、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のマーゴット・ロビー、『TENET』のジョン・デビッド・ワシントンを配し、さらにロバート・デ・ニーロや『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック、そしてなぜかテイラー・スウィフトまで出演しているという豪華な映画。
舞台は1933年のアメリカ。バート(クリスチャン・ベール)は、自らもWW1で負傷したが、負傷兵の治療にあたっている町医者で、戦場でともに負傷をしながら固い絆で結ばれた黒人弁護士のハロルド(ジョン・デビッド・ワシントン)ともに戦傷兵の世話をしている。
彼らの命の恩人がヴァレリー(マーゴット・ロビー)で、彼らは戦争が終わった後にアムステルダムでともに自由を謳歌した過去があった。
そんな中で、バートはハロルドから、自分たちの上官であったミーキンズ将軍が不審な死を遂げており、解剖して死因を確かめてほしいという依頼を受ける。だが、それをきっかけに2人は殺人の濡れ衣を着せられて、アメリカにファシスト政権を樹立しようという陰謀に巻き込まれていくというお話。
一部は実話を元にしているのですが、このアメリカでファシズム政権という話は、この時代のことをよく知らない人にとってはいまいちリアリティが感じられないかもしれません。
チャールズ・リンドバーグがナチスに親和的な姿勢を見せたり、世界恐慌の中で復員兵が一種の「爆弾」のような存在だったことなどを知っていると、この映画が描こうとしていることがよくわかるでしょう。
この映画だと世界恐慌の描写も弱いので、なぜそんな陰謀が成り立つのかややわかりにくいです。
役者はいいのでそれぞれが存在感を見せているのですが、一方で、演出はコメディっぽくしたいんだかしたくないんだかよくわからないところがあり、そこがこの映画の欠点なのではないかと思います。
バートが自作の薬で卒倒するシーンとかもギャグなのか何なのかよくわからないですし、笑えそうでそんなに笑えない映画です。
こういった笑いのセンスが合う人もいるのかもしれませんが、個人的にはちょっとずれていてもったいない感じのする映画でした。