『フォードvsフェラーリ』

 終わってしまうギリギリで見てきましたが、これはハリウッドの王道映画とも言える作品ですね。

 ル・マン24時間レースで優勝したものの心臓病でレーサーを引退したキャロル・シェルビー(マッド・デイモン)と、偏屈でありながら車の特徴を見抜く目とドライバーとしてのテクニックが抜群なケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)のコンビが、フォードの車でル・マンで当時無敵を誇っていたフェラーリに挑むという話。

 

 当然ながら、マッド・デイモンとクリスチャン・ベールの二人は良いです。特にクリスチャン・ベールは偏屈な人間を自然に演じてますし、マッド・デイモンにも説得力がありますね。他にもケン・マイルズの奥さんを演じたカトリーナ・バルフ、リー・アイアコッカを演じたジョン・バーンサルも良かったと思います。

 このアイアコッカを中心にフォードとフェラーリの因縁(フォードはフェラーリの買収を試みるがフィアットの噛ませ犬にされただけだった)を描いているところや、硬直化しつつある巨大企業フォードの問題点なども描いていて、たんなる男の友情物を超えた面白さがあります。

 

 そしてレースシーンも斬新さとかはないですが、細かいカットをつなぎながら迫力のあるレースシーンを再現してます。ル・マンに関しては、もう少しレース時間の長さを感じさせるような描写にしても良かった気もしますけど、やりすぎるとダレるでしょうし、このあたりは難しいですね。

 

 実話をもとにした王道的な話の進め方で、何か良い意味で期待を裏切る展開とかはないのですが、映画になりそうな話を、きちんと映画として仕上げてきたところにこの映画の良さがあるのだと思います。

 ただ、これが正月映画ではなくて冬休みが終わった後に公開されているところが、近年の日本における洋画の弱さを象徴しているような気がしますね。