『ワンダフルライフ』

 ビデオで『ワンダフルライフ』を見た。『誰も知らない』が最高によかった是枝裕和監督の作品ですが、実は個人的に『誰も知らない』以外の『幻の光』と『ディスタンス』は全然評価しない派。ただ、この『ワンダフルライフ』はけっこうよいという人が多いので、ちょっと期待しながら見ました。で、見た感想は、「死んだ人にたった一つだけ、大事な思い出を決めてもらい映画を作る」、というアイディアがまずよい。これはかなりうまい設定。なんでハリウッドとかがリメイクしないんだろうっても思う(トム・ハンクスとかで。ただ、この映画自体は非常に淡々としているのでトム・ハンクス的な感動を期待する人には合わないでしょう)。ARATAをはじめとする役者も悪くないし、思い出を語る役として何人か起用されている素人の人がいい味を出してる。と、まあ悪くないんだけど、ちょっと不満が残るのも事実。伊勢谷友介が「思い出を一つに決めない。決めないことが自分の人生に対する責任の取り方だ」というようなことを言うのですが、その非常に重要な問いに正面から答えてないんですよね。せっかくこれだけいいアイディアなのに、「いい話」に回収されてしまっているような気がします。伊勢谷友介の問いにはぜひ監督として答えて欲しかった。

晩ご飯は寄せ鍋→おじや