北岡伸一の『国連の政治力学』(中公新書)』を読んでのメモ。
この本は著者が国連次席大使として2年半活動した記録で、国連の活動や実際に外交の舞台で行われていることがわかり面白い本なのですが、その中でもPKOに関する記述はけっこう重要かもしれません。
まずこの本の267pに載っているPKOへの派遣人数ですが
1位 バングラディシュ 10166人
2位 パキスタン 9622人
3位 インド 8994人
4位 ヨルダン 3727人
5位 ネパール 3505人
6位 エチオピア 3409人
7位 ウルグアイ 2559人
8位 ガーナ 2556人
9位 ナイジェリア 2427人
10位 南アフリカ 2046人
と、途上国が圧倒的です。先進国ではフランスが586人で第22位、常任理事国でいっても中国の1045人の14位。ロシアなんかは206人ですから、常任理事国になったからといって大量のPKO要員を出す必要はなさそうです。
このデータに似たものは昔何かで見たことがあって、南アジアの国が多いのはカシミールのPKOなのかな?って思っていたんですが、カシミールのPKOの人数は43人。じゃあなぜか?と言うと、それを説明しているのが次の186ー187pの部分。
要員派遣については、一人月約1000ドルが払い戻される。これは途上国にとって相当の金額である。その一部は政府に入り、一部は兵士のものとなる。したがって、PKOに参加を希望するものが列をなす国がいくつもある。また、装備の更新もできるし、訓練にもなる。こうして、国防に利用できる大きな軍隊を維持することができている。
こういう状態が倫理的に正しいのかどうかはわからないけど、とりあえずはこれが現実。常任理事国入りの是非を考えたりする上でも知っておくべき現実でしょう。
国連の政治力学―日本はどこにいるのか
北岡 伸一
晩ご飯はスパゲッティミートソースとゴールデンキュウイ