素晴らしき日本の若者と教育

 ちょっと前に長谷川真理子が言っていた「日本の若者は世界一人を殺さない」という話。今日の読売新聞の「進化論とあなた」という連載にちょっと詳しいデータが載っていました。

 若い男性が殺人を引き起こしやすいことは、犯罪学の常識だった。進化論でも、若い動物のオス同士が闘争する理由を、「繁殖」にスポットを当て説明してきた。つまり、動物のオスにとっては「負けたくない」という強い気持が、繁殖をめぐるオス同士の競争に勝ち、多くの子孫を残すのに有利だというのだ。
 だが、人間の行動を進化論の視点から研究する総合研究大学院大学長谷川真理子教授(55)は、戦後の日本の殺人を調べて驚いた。
 「全体の件数が激減しただけでなく、10代後半から20代の男性の殺人が目立って減少していたのです」
 06年に殺人罪で検挙されたのは1241人で、50年前の2720人の半数以下。中でも、18歳から29歳の男性の割合は、50年前の57%から15%に激減した。
 一方、60歳以上の割合は4%から20%に増え、高齢者の殺人が目立つようになった。こうした現象は世界でも例がなく、少子高齢化だけでは説明できないという。

 57%→15%っていうのはすごいですよね。そして18歳から29歳の割合を60歳以上が逆転しているという。
 この現象に対して長谷川真理子は「戦後の日本は経済格差も少なくなり、高学歴化も進んで若者も殺人を犯せば失うものが増えたのではないでしょうか」とコメントしているけど、他の先進国でも同じような経済発展と高学歴化は進んでいるので、これだけで説明はできないはず。
 そこで思うんですが、どうして問題があるとすぐ教育のせいにするのに、いいことは教育のせいにしないんですかね?
 この若者の殺人率の異常な低さこそ戦後の日本教育の偉大な成果かもしれないじゃないですか。 
 

 確かに学力は低下したかもしれないけど、人は殺さなくなった。これはある意味誇れることかもしれません。
 「人に迷惑をかけない」ということが社会生活にとって一番大切なことならば、日本の教育はその一番大事なことをしっかりと教育できていると言えるんじゃないでしょうか?
 「最近の若者はダメだ」→「戦後教育がダメだ」というのが常識のようになってしまっている今日この頃ですが、「世界一人を殺さない日本の若者は素晴らしい!」→「日本の教育は素晴らしい!」ということになってもいいような…。
 競争よりも「みんな仲良く」を標榜してきた日本の教育はある意味,ものすごい成功を収めたと言えるでしょう。


 もちろん、「みんな仲良く」ってのが最高の価値観であってよいのか?という疑問は当然あるとは思いますし、僕個人としても「それはどうか」と思いますが、この日本の教育が成し遂げたことというのは押さえておくべき事実じゃないでしょうか?