現在、ロックの最先端を行くバンドと言ってもいいTV On The Radioの4thアルバム。
00年代のロックにおいて数少ない革新者だったのが、このTV On The Radioのメンバーでもあり、Yeah Yeah Yeahsなどのプロデュースも行ったDavid Sitek。そして、TV On The Radioは前作の「Dear Science」でその実力性と革新性を遺憾なく見せつけました。
今までの緻密かつグルーヴ感のある楽曲に、さらにキャッチーさや力強さが加わったことで、「Dear Science」は00年代を代表するロック・アルバムになっていたと思います。
そして今作、聴いてみた印象は前作に比べるとずいぶんとおとなしいです。
1曲目の"Second Song"もいかにもTV On The Radio的なリズムとコーラスを持った曲だけど、あくまでも派手にならずにうまくまとめているし、3曲目の"You"や5曲目の"Killer Crane"なんかは今までにないようなきれいな曲。特に"Killer Crane"は、きれいな中に、じわじわと決して派手にはならずにじわじわと盛り上げてくる6分超の曲。派手さを抑えつつ微妙に変化をつけて盛り上げてくる曲調はこのアルバムを象徴しているといえるかもしれません。
8曲目の"Repetition"なんかも、2ndアルバムの"Wolf Like Me"を思わせるような疾走感ですが、こちらのほうが軽快ですね。
もちろん、4曲目の"No Future Shock"とかラストの"Caffeinated Consciousness"とか、それなりに派手めの曲もあるんだけど、キャッチーさに関しては断然前作。
ただ、派手さはない中にもバンドとしての成熟や、アレンジの洗練さが感じられるのがこの「Nine Types Of Light」。
TV On The Radioを初めて聴く人には、前作の「Dear Science」をオススメしますが、ファンなら今作も楽しめると思います。
が、オフィシャルにはこんな悲しいニュースが…
We are very sad to announce the death of our beloved friend and bandmate, Gerard Smith, following a courageous fight against lung cancer. Gerard passed away the morning of April 20th, 2011. We will miss him terribly.
ベースのGerard Smithが亡くなってしまったようです。
これで来日もしばらくないだろうし、バンド自体もどうなっちゃうんでしょうかね…。