Low Roar/Once In A Long, Long While...

 Low Roarはアイスランド出身の二人組ユニットでこれが3rdアルバム。以前なら1stか2ndの時点で見つけられていたんでしょうが、ずいぶんアンテナが鈍っているせいもあって、この3rdアルバムでようやく捕捉できた感じです。
 アイスランドといえば、何と言ってもビョークSigur Rosで、最近ではアウスゲイルなんかがでてきているわけですが、このLow Roarの音楽もそういったアイスランドのアーティストの流れの中にあります。
 エレクトロニカと生楽器の融合、浮遊感を感じさせるようなメロディやアレンジ、少し神秘的な世界観など、多くのものが共通しています。


 では、今までのアイスランドのアーティストとこのLow Roarの違いは何かというと、個人的にはポップさなんだと思います。
 このアルバムの日本版や日本での配信用のものを買うと(自分はiTunesの配信で買いました)、ボーナストラックとしてメタルギア・シリーズの小島秀夫が手掛けるゲーム『デス・ストランディグ』のティーザー映像(宣伝用の映像)に使用された"Easy Way Out"と"I'll Keep Coming"が入っています。
 別にあからさまにポップな楽曲では全然ないのですが、そういったゲームのBGMとしても映えるようなある種の聴きやすさが、このLow Roarのアルバムにはあると思います。
 

 例えば、冒頭の"Don't Be So Serious"も、基本的にはダークな雰囲気の曲なのですが、サビの部分のアレンジがほんの少しポップによっていて、気持よく抜けていく感じがありますし、7曲目の"Gosia"も物静かなバラードなのですが、バックにキャッチーなメロディを入れることで静かになり過ぎないように工夫がしてあります。
 『デス・ストランディグ』に使われているというラストの"I'll Keep Coming"も、基本的には静謐な曲なのですが、どこかしらアレンジに高揚感を持たせるようなところがあり、最後はその高揚感をもたせるアレンジが前面に出てきます。


 シングル的なインパクトの強い曲はありませんが、全体的になかなか良いアルバムになっているのではないでしょうか。



ワンス・イン・ア・ロング・ロング・ホワイル
ロウ・ロアー
B06WWQH119