スピッツ / ひみつスタジオ

 スピッツのニューアルバム。リリースを聞いたときは「「醒めない」以来、かなり久々?」と思っていたら、2019年に「見っけ」がリリースされていたのを完全に見逃していたという…。

 というわけで、買う前に一度がっくりきてしまったのですが、このアルバムを聴いたら相変わらずのいい感じでした。

 

 スピッツのアルバムは「小さな生き物」から「醒めない」と、明らかに東日本大震災の影響を受けていて、"エンドロールには早すぎる"とか"みなと"とか、鎮魂歌といってもいいような曲が目立っていましたが、この「ひみつスタジオ」ではそういったイメージは退いています。

 

 いかにもスピッツっぽい曲が並んでいる中でも、ちょっとびっくりするのが6曲目の"オバケのロックバンド"。スピッツといえば草野マサムネの声なのに突然知らないおっさんの声が聞こえてくるのです。

 それはスピッツのメンバーなんですけど、スピッツはこういうことをやっているイメージがなかったのです最初に聴いたときはすごく驚きました。

 でも、この"オバケのロックバンド"がバンドサウンドとしてもいいんですよね。

 

 8曲目の"未来未来"も好きな曲ですが、この曲もサビのメロディの美しさからするともっと流行りのシティポップ的に仕上げることも可能なんでしょうけど、あえて攻撃的なアレンジをしている所がいいですね。

 つづく"紫の夜を越えて"も、いかにもスピッツっぽい曲ではあるのですが、バンドサウンドとしての緩急の使い方が上手いですね。

 もちろん、シングル曲の"美しい鰭"もいいですし、全体的に非常に安定していいアルバムになっていると思います。

 


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