『マーウェン』

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『フォレスト・ガンプ』のロバート・ゼメキス監督が、ミニチュアのG.I.ジョーのホーギー大佐と5人のバービー人形がナチス親衛隊と戦うジオラマを作り、それを写真として発表し高い評価を得たマーク・ホーガンキャンプについて描いた作品になります。

 マークは女性のヒールを集める趣味があり、それを酒場で見知らぬ男たちに知られたことから、「変態」としてリンチを受け瀕死の重傷を負い、さらに記憶まで失ってしまいます。いわゆるヘイトクライムにあたりますが、このヘイトクライムによるPTSDに苦しむマークがミニチュア写真と周囲の女性との交流により、徐々に精神の健康を回復していく話になります。マークを演じるのはスティーヴ・カレルです。

 

 こうした要素を書くと感動の大作としてヒットしそうな気もしますが、まったくヒットしていません。僕も上映が終わっちゃう直前にこの映画に気づいて、今日見てきました。アメリカでもヒットしなかったようです。

 おそらく受けなかった理由は単純で、マークが変な男であり、その変さストレートに描いているからです。マークがつくるミニチュアはマークをモデルにしたホーギー大佐を女性たちが取り囲み、ホーギー大佐に好意を抱く女性たちがホーギー大佐のために戦います。しかも、女性たちはマークの周囲にいる女性をモデルとしています。

 マークがその世界観を嬉々としてヒロインに語り引かれるシーンがあるのですが、誰だって引かれるでしょう。

 

 ただ、変人を「ピュア」として描かないで、その変人さをそのまま描いているところがこの映画の面白さでもあり、良い点でもあると思います。ある意味でオタクをありのまま描いた映画と言えるかもしれません。

 また、映画ではミニチュアが動いて、マークの作る世界を再現するわけですが、そのCGは面白いです。動きの質感とかは実写ともアニメとも違う不思議な感じになっていて、おそらくゼメキスはこれがやりたかったんではないかと思います。

 あと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のファンにはサービシーンもあるので、それも楽しめると思います。