Mr.Childrenのニューアルバムですが、前々作「REFLECTION」、前作「重力と呼吸」はプロデューサーの小林武史と決別して、「原点回帰」といった印象の強いアルバムでしたが、今作はピアノもあり、ストリングスもありと、小林武史がいた頃に近い編成で演奏されている曲が多いです。
ただし、だからこそ小林武史の特徴も改めて分かる感じで、小林武史時代は曲の輪郭線が強いんですよね。例えば、個人的にかなり好きな「擬態」とかも、ドラムとかかなり複雑なリズムを叩いているけど、目立つの冒頭のピアノのメロディ。あそこで曲の印象を一気に固めています。
一方、今作はそういった輪郭線の強さのようなものはなく、ややぼやけた印象も受けます。
ただ、それが悪いわけでもないです。
今作で一番いいと思う曲は"Brand new planet"ですが、これは今回のアレンジとハマっています。
この曲の最後のサビの歌詞はこんな感じ。
この手で飼い殺した
憧れを解放したい
消えかけの可能性を見つけに行こう
何処かでまた迷うだろう
でも今なら遅くはない
新しい「欲しい」まで もうすぐ
新しい「欲しい」まで もうすぐ
歌詞を見るまでは「新しい星」かと思ってましたが、「新しい「欲しい」」となっています。
このサビも小林武史時代と比べると、少し曇った感じというか、はっきりとした塊というよりは空気中に発散していく感じで展開されるのですが、これがこの歌詞に合ってます。
桜井和寿も50歳になり、やはり「新しい「欲しい」」という言葉には切実さとともに照れもあるんではないかと思うのですが、このちょっと気恥ずかしさもある切実な気持ちとこのアレンジが非常にマッチしていると思います。「星」的な感じも出てますし、この曲はこのアレンジも相まって近年のミスチルの曲の中でも相当いいんじゃないかと思います。
一方、映画のドラえもんの主題歌にもなっていた"Birthday"はもっとインパクトを強めにしてもいいかと思いました。
それぞれ好みはあるでしょうけど、個人的には"Brand new planet"1曲でもけっこう満足できた感じですね。
Mr.Children 「Brand new planet」 from “MINE”