『シン・仮面ライダー』

 賛否両論という感じですが、ケレン味の溢れた作品で個人的には楽しめました。

 もともと小さい頃は仮面ライダーが苦手で(自分が見たのは村上弘明がやってたやつ)、断然ウルトラマン派でしたけど、『シン・仮面ライダー』と『シン・ウルトラマン』を比べると『シン・仮面ライダー』のほうが好きですね。

 

 まず、アクションシーンがいいと思います。

 ハチオーグとの戦いは『キル・ビル』を思い起こさせるようなケレン味たっぷりな対決になっていますし、暗いトンネルの中でのバイクチェースシーンで、暗い中から爆発で一気に眩しくなるような演出もいいと思います。

 

 あと、脈絡としてはどうなのか?というのはあるんですけど、庵野秀明が好きそうな風景のオンパレードでそこも楽しいですね。

 貨物列車の車両基地、電線、コンビナート、渚、異常に殺風景な室内などなど、まさに庵野ワールドといった感じです。

 

 そして浜辺美波がほぼリアル・綾波レイ。顔小さいし手足長いし、おまけに首が細くて長い上にタートルネックを着ているしで、アニメキャラのようなフォルムになっています。

 人格的にも口癖が「私は常に用意周到なの」でアニメキャラのよう。『シン・ゴジラ』の石原さとみ、『シン・ウルトラマン』の長澤まさみ、今回の『シン・仮面ライダー』の浜辺美波とずっとアニメキャラっぽいヒロインなわけですが、今回が一番外見も含めてアニメキャラっぽいかもしれません(今後庵野秀明がどういう作品をつくるのかはわからないけど、アニメキャラっぽい女性しか描けないというのは実写を撮る上では制約にはなってくるかと思う)。

 

 ストーリー的には、TVシリーズで1年かけてやるような内容を2時間をやっているようなところもあるので、いろいと端折って飛ばしている感じですし、敵の目的とかも既視感があるのですが(AIが人類の目指す幸福として「最大多数の最大幸福」ではなく「最も不幸な人間の願いを叶えること」みたいなことをいい出したときは「ロールズだ!」って思いましたが)、まあこんなものかと。

 やや後半にかけて失速しそうにもなりますが、ここは柄本佑が演じる仮面ライダー2号の飄々とした演技がうまくフォローしていたのではないかと思います。