マラウイ共和国にルーツをもつボストン出身のノンバイナリーのアーティスト、Anjimile(アンジマリ)の2ndアルバム。
前作の「Giver Taker」は基本的にはフォークと言う感じで、静かで内省的なアルバムでしたが、今作はそのイメージを大きく打ち破ってきていて素晴らしいですね。
本人が「Giver Takerが祈りのアルバムだとしたら、The Kingは呪いのアルバムだ」とプレリリースの時に述べたそうですが、まさにそういう感じです。
とりあえず、1曲目の”The King”を聴いてほしいのですが、静かに始まった曲がバックの電子音のフレーズで一気に禍々しくなる感じは見事です。
4曲目の”Genesis”の歪んだギターもいいですし、5曲目の曲のメロディーの綺麗さを毀損するくらいの強いバックの音もいいです。
もともと非常にきれいなメロディーが書けるアーティストなのですが、それをあえて壊してくるのがこのアルバムの魅力でしょう。
そして、きれいなメロディーが残っている場合でも6曲目の”Father”とかに代表されるように沈んだ雰囲気をたたえています。
8曲目の”Black Hole”はオルタナティブ・ロック的な激しさとギターもありますし、アルバムを通して飽きさせないですね。
そして、最後はAnjimileらしい静かさをもった(でもバックの音はやや不穏)”The Right”で締め。
全体としてかなり良いアルバムではないかと思います。