心理
あとがきに「想定した読者対象は、境界性パーソナリティ障害の治療、とくに精神療法に実際にたずさわっている専門家である」(200p)と書かれているように、決して一般向けに書かれたわかりやすい本(例えば、境界性パーソナリティ障害とは何か?そういった人…
前々から読まねばと思いつつも、いまいち手が出なかったこの本をブックオフで1050円で見つけたのを機に読んでみました。 さすがに、この問題の<バイブル>というだけ記述は力強く、レイプ被害者、児童虐待の経験者、そして戦場からの帰還兵らの苦悩を、「心…
このブログでは何回か被害者参加制度に疑問を呈してきました。 ダニエル・H・フット『名もない顔もない裁判所』と被害者参加制度 - 西東京日記 IN はてな 冤罪と被害者参加制度 - 西東京日記 IN はてな 残念ながら被害者参加制度はスタートしてしまった…
「十川幸司、ラカン派から転向!」 というのが、この本を一言で表す言葉になるでしょうか。 『精神分析への抵抗』といういかにもラカン的な本でデューした十川幸司でしたが、つづく『思考のフロンティア 精神分析』では治療現場におけるラカン理論に疑問を呈…
どの分野にも専門家に熱心に読まれている本というのがありますが、中井久夫の数多くの著作の中でも精神科医の間で評価が高いのがこの本。先日、ジュンク堂でやっていた「精神科医が薦める心理学の本」みたいなコーナーでも複数の人があげていたのがこの本で…
http://d.hatena.ne.jp/morningrain/20080803/p1で紹介した斎藤環『文学の断層』にとり上げられていたのが、安克昌が『心の傷を癒すということ』で書いている「リアル病」という概念。 安克昌は、阪神大震災直後に現地で「心のケア」にあたった精神科医で中…
序論が「解離性障害治療私史」となっていて、その最後に「この書物は教科書たることを欲望していない。本書は決してハウツーものではない。」とありますが、まさにその通りで、この本に例えば中井久夫とか神田橋條治の本に見られるような「達人の知恵」のよ…
大人になってから自分の父親なり母親なりと2人でどこかに出かける息子ってのはあんまり多くない気がしますが、母親と一緒に行動している娘ってのは街に出ればいたるところで見かけますよね。 日本の家族関係の中では突出して親密に見えるこの母娘の関係、し…
精神疾患と言えば脳の病気、もっと細かく言えば脳の中の神経伝達物質のバランスが崩れている、あるいはレセプターに問題があるということで、そういった神経伝達物質をコントロールする薬が治療に使われています。 けれども、そんなに明快な理論があるなら、…
今日ネットで知った次のニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080119-00000052-mai-soci <性格と体形>社交家は肥満、心配性「やせ」多い…東北大1月19日15時1分配信 毎日新聞 社交的な人や自己中心的な人ほど肥満が多く、心配性の程度が強いほどや…
単行本『「心理学化する社会」の臨床社会学』がなかなか面白かった、樫村愛子初の新書。 内容を箇条書きで紹介しますと ・ 「プレカリテ」(=不安定性)というフランスで使われだした言葉をキーワードにしてネオリベラリズムのもたらす問題点を指摘し、それ…
中井久夫『こんなとき私はどうしてきたか』を読了。病院の医師や看護師にたいして行った講演をまとめたもので、これまた非常にいいです。 統合失調症の患者を中心にすえながら、患者と出会ったときどうするか?患者の暴力にどう対処するか?病棟の運営をいか…
今日の東京競馬場は、皇太子に安倍総理に織田裕二のそろい踏み。そろい踏みと言っても、皇太子まで出てきちゃうと、表彰式の織田裕二とかインパクトないですね。 笠原嘉『新・精神科医のノート』を読了。 『精神病』や『青年期』、『軽症うつ病』など、非常…
「みすず」の年間アンケートで何人かがあげていたこの本。双極2型障害という耳慣れないうつ病を中心に扱った本です。 うつ病が増えているという話はよく聞きますし、うつと自殺の関係などもよく取りざたされていますが、現在臨床の場で増えているというのが…
ラカンのセミネールの4巻にあたるんだけど、読むのに2月くらいかかった。ということは、あまり面白くなかったということでもある。フロイトの「ハンスの症例」をかなり詳細に分析していて、「ハンスの症例」を読みつつ、セミネールを読み進めるのがいいの…