映画

『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる』

前編を見た時に、TVシリーズを見ていたはずなのに全然展開を思い出せなかったと書きましたが、後編もそう。いくつかのシーンは見ながら思い出したのですが、特に冠葉と晶馬の子ども時代の教団でのシーンとかは「これってあったっけ??」という感じで、11年…

『神々の山嶺』

夢枕獏の原作を谷口ジローが漫画化し、さらにそれをフランスでアニメ化したもの。ここ最近、『犬王』とか『ピングドラム』みたいなケレン味たっぷりのアニメを見ていたから、冬山や断崖といったダイナミックな自然を堂々と見せるのは新鮮だったし、表現も上…

『ベイビー・ブローカー』

是枝裕和監督が、韓国を舞台に韓国人俳優のキャスト、スタッフで作った映画。ソン・ガンホ、ペ・ドゥナなどの大物キャストを揃えて、日本人俳優は一切作っていませんが、それでも非常に是枝監督らしい作品に仕上がっています。 日本にもある「赤ちゃんポスト…

『PLAN 75』

75歳以上が自ら生死を選択できる制度(PLAN 75)が国会で可決された近未来の日本という設定は、正直なところセンセーショナルだけど平凡ですし、冒頭で相模原の障害者殺傷事件の植松被告を思わせる人物が登場するのも平凡です。 ですから、見始めたときは「…

『犬王』

見終わった最初の感想は「これはクイーンであり、犬王はフレディ・マーキュリーだ」ということ。映画の中のかなりの時間をステージのシーンが占めているのですが、それがとにかく過剰。 湯浅政明監督は、アニメならではのさまざまな効果を存分に使って作品を…

『シン・ウルトラマン』

いろいろと賛否両論あるみたいですが、個人的には面白かったです。 なんといっても山本耕史のメフィラス星人は最高ではないですか。ここ最近の実写のキャラの中ではピカイチと言ってもいいくらいで、「私の好きな言葉です」のセリフといい、このキャスティン…

『RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編] 君の列車は生存戦略』

昨年、放送から10周年を迎えたTVアニメ「輪るピングドラム」の劇場版。 子ども姿で記憶をなくしている冠葉と晶馬が池袋のサンシャイン水族館で不思議な赤ちゃんペンギンに出会うところから映画はスタートします。TV版の最終回で冠葉と晶馬は子どもの姿になっ…

『コーダ あいのうた』

今年のアカデミー賞の作品賞と助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞を獲った作品。 冒頭は漁船のシーンで、主人公のルビーが歌いながら漁を手伝っていますが、一緒に乗っている父と兄は気にしていません。なぜなら、二人とも耳の聞こえない聾唖者だから…

『ベルファスト』

北アイルランドのベルファスト出身のケネス・ブラナーが監督・脚本を務めた作品。ケネス・ブラナーの自伝的要素も強いと言います。 最初は、鮮やかな現在のベルファストの映像から始まりますが、舞台となる1969年のシーンが始まるとモノクロになり、プロテス…

『ドライブ・マイ・カー』

去年の秋から見たいと思いつつも予定が合わなくて「見逃したか…」と思ってましたけど、ようやく見ることができました。 原作は村上春樹の短編で未読なのですが、村上春樹の短編がここまで複雑な構造の話になっていることにまず驚きました。 主人公は舞台俳優…

『クライ・マッチョ』

クリント・イーストウッド、91歳にして監督と主演を務めた作品。 舞台は1980年、かつてはロデオ界のスターだったが、落馬事故をきっかけに落ちぶれた年老いたカウボーイのマイク(クリント・イーストウッド)は、かつての雇用主で恩人でもある人物に「メキシ…

『決戦は日曜日』

宮沢りえが2世議員を、窪田正孝がその秘書を演じた選挙をテーマにした映画。社会科の教員としては見ておかねばと思って見に行ってきました。 谷村(窪田正孝)は、地方都市に地盤を持ち民自党で防衛大臣も務めたことがある(映画中で言及はないけどかなりの…

2021年の映画

毎年書いている記事なので一応今年書きますが、今年はぜんぜん映画を見れておらず、しかも「これ!」といったものもないのでそんなに書く意味はないような内容。 コロナという要因も大きいのですが、それ以上に会員になっている立川のシネマシティが、TOHOシ…

『DUNE/デューン 砂の惑星』

原作も未読ですし、デヴィッド・リンチの『デューン/砂の惑星』もリンチ好きのくせに見ていないのですが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ということもあり、ハズレはないだろうということで見てきました。 映像はさすがドゥニ・ヴィルヌーヴで言うことはないです…

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

見るちょっと前に上映時間が163分という情報を知って「そんなに長いの?」と思いましたが、見終わってみれば全然飽きずに見れました。 監督のキャリー・ジョージ・フクナガは初めて聞く名前でしたが、前作までのサム・メンデスのトーンをよく引き継いでいて…

『返校』

以下は映画.comに載っている解説 2017年に発売された台湾の大ヒットホラーゲーム「返校」を実写映画化。国民党政権下の白色テロ時代を題材に描いたダークミステリーで、第56回金馬奨で最優秀新人監督賞など5部門を受賞した。1962年、台湾では中国国民党によ…

『竜とそばかすの姫』

いろいろと脚本の穴もあって批判も多いのだろうけど、個人的にはこの映画のゴージャスさを買いたい。実写を含めて、ここ最近の日本映画の中だと一番ゴージャスな映画と言えるんじゃないでしょうか? まず、誰もが認めるであろうことは音楽と中村佳穂の歌の良…

『ノマドランド』

一時期、日本でも「ノマドワーカー」というオフィスなどではなくカフェなどで移動しながら仕事をするスタイルが局所的に持ち上げられましたが(安藤美冬さんとか何をしているんだろう?)、この映画に出てくる「ノマド」は全く違うものです。 この映画に出て…

『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』

見てきました。まさに「さよなら、すべてのエヴァンゲリオン」というキャッチコピーが当てはまる作品でした。 3月8日に公開して以来、別にネット断ちをしていたわけでなくTwitterも普通に見ていたのですが、自分のTLではネタバレは皆無。 おそらくネタバレし…

『花束みたいな恋をした』

数々の良質なドラマの脚本を書いてきた坂元裕二によるオリジナル・ストーリーですが、まずはやはり脚本がうまい。 主人公は菅田将暉演じる麦と有村架純演じる絹。この2人のまだ学生だった20代前半から5年ほどの彼らの歩みを描いているのですが、彼らはともに…

『KCIA 南山の部長たち』

1979年10月26日に起きた韓国のパク・チョンヒ大統領暗殺事件を描いた映画。南山(ナムザン)の部長とは、韓国中央情報局(KCIA)のトップのことで、パク・チョンヒ大統領を暗殺したキム・ジェギュ部長が本作の主人公となりますが、本作では「フィクション」…

2020年の映画

映画館で見た映画は15本(ブログで感想書いた14本と子どもと一緒行った『映画 プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』)。コロナの影響で3月から6月までの3ヶ月、そして6月から9月までの3ヶ月と映画を見ない時期がありましたが、その割には、けっ…

『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』

今さらながら見てきました。 ついに興行成績が過去最高になったわけですが、結果論的に言うと、TVシリーズを欲張りせずに中途半端なところで終わらせて、このエピソードで劇場版を作った戦略の勝利という感じですかね。 TVアニメの「鬼滅の刃」をスタートさ…

『羅小黒戦記〜ぼくが選ぶ未来〜』

中国のアニメで読み方は「ロシャオヘイせんき」になります。 冒頭は『もののけ姫』みたいですし、ラストに出てくる館は『千と千尋の神隠し』みたいと、ジブリを中心とする日本のアニメに強く影響を受けているのがわかるのですが、これは面白いし、よくできて…

『スパイの妻 劇場版』

冒頭の蒼井優の初登場シーンは本当に見事で、戦前の神戸の街の撮り方も加わって、最初は素晴らしく格調の高い映画だと感じましたが、途中からB級映画的なテイストも加わってくるのが黒沢清ならではですね。 蒼井優演じる聡子は貿易商を営む福原優作(高橋一…

『TENET テネット』

クリストファー・ノーランの新作は時間の逆行というアイディアを取り入れたSFもの。映画の中にありえない世界を作り上げるという点では『インセプション』に似ていますが、やろうとしていることはさらにややこしいです。 緻密なんだか大ボラなんだにわかには…

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

『若草物語』は未読なのですが、2018年の個人的ベスト映画『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督+主演シアーシャ・ローナンということで見てきましたが、これも良い作品でしたね。 舞台は南北戦争当時のアメリカ・マサチューセッツ。メグ、ジョー、リ…

『レ・ミゼラブル』

ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』の舞台ともなったパリ郊外のモンフェルメイユを舞台にした映画で、タイトルはそこから。ミュージカル映画ではありません。 このモンフェルメイユ、「郊外」というキーワードからピンときた人もいるかも知れませんが、…

『名もなき生涯』

テレンス・マリックがオーストリア出身で第二次世界大戦中に良心的兵役拒否を行ったフランツ・イエーガーシュテッターについて描いた映画。自分はこの映画までイエーガーシュテッターのことを知りませんでしたけど、殉教者としてカトリック教会から列福され…

『1917 命をかけた伝令』

サム・メンデス監督作品で、第一次世界大戦の西部戦線を舞台に、前線の部隊に攻撃中止の命令を伝える伝令の体験を描いた映画。まるで、前編ワンカットで撮影したように構成されていて(途中で暗転するシーンもあるので相当な長回しをつないでいるのだと思い…